スパイスに興味のある皆様でも、この「アジョワン」というスパイスはあまりお目にかかることはないかもしれません。
アジョワンは北アフリカが原産のスパイスですが、今はその地域の料理ではほとんど使われておらず、インドと周辺国のごく一部でしか使われることはありません。そのため効能や使い方はあまり知られていませんが、インドでは料理に民間療法にと、家庭では欠かせないスパイスとなっています。
そんな謎多きスパイス・アジョワンの効果効能、使い方をご紹介します。
目次
アジョワンってどんなスパイス?
アジョワンはクミンなどと同じセリ科の1年草です。見た目はディルシードやキャラウェイシードに似ていますが、香りは全く違い、どちらかというとドライタイムのようなハーブ系の香りがします。
タイムの代用品として料理に使うこともありますが、アジョワンのほうが香りは高く、強めの刺激と微かな酸味を感じるスパイスです。ピリッとした刺激は個体差がありますので、念のため使用前に確かめてから使用したほうが良いでしょう。
お腹の不調と殺菌に!アジョワンの健康効果
アジョワンはインドの伝統医学・アーユルヴェーダでは消化器系や呼吸器系に良いといわれていて、代謝を高める作用から消化不良や胃もたれの改善、整腸作用があるためお腹の張り・腸のガス抜き・下痢・便秘解消に効果的です。
チモールという成分には抗ウィルス作用・殺菌作用があり、風邪などの感染症予防や喘息などの呼吸器系の病気に効果的。また殺菌効果は防腐剤やマウスウォッシュにも利用されます。
他にも利尿作用や神経活性作用があるといわれ、インドでは家庭に常備されていることも多いようです。
カレーパウダーや野菜炒めに!アジョワンの使い方
アジョワンは単体で使われることはあまりなく、一般的には粉末にしてカレーパウダーに混ぜたり、インドでは辛味の強い料理やスナックなどに利用されます。
細かく砕いてナンやチャパティ・パパドに練りこんだり、“インドの天ぷら”といわれるパコラの衣に混ぜたり、インドの軽食・サモサやパラタに詰める具に混ぜると、芳ばしさの中に爽やかな刺激がプラスされ、アクセントに最適。
また、トマトとの相性が良いので、クローブ・シナモン・クミン・ローレルなどのスパイスと一緒に具材を炒めトマト煮込みにすると、いつものトマト煮込みとはひと味違ったエキゾチックな味わいになります。
普段の料理に用いる場合、オムレツや卵炒めといった卵料理や野菜炒めにおすすめ。にんにくやクミンと相性が良く、ガラムマサラと一緒に炒めるだけで本格風の味わいを楽しめます。
他にはドレッシングやピクルスの風味付け・煮魚の香り付け・クッキーのアクセントなどにもおすすめです。
アジョワンを使うときは少量から
インドではカリフラワーの炒め物がよくカレーの付け合わせに食べられているのですが、アジョワンはカリフラワーやじゃがいもといった淡白な味わいの料理に用いることで、アクセントとして活きてきます。
香り高さと苦味、ピリッとした刺激が、料理に奥行きを与えてくれますので、風味の傾向がつかめるまでは少量ずつ、にんにくなどの香味野菜や他に2種類ほどのスパイスと一緒に使ってみてくださいね。